教員紹介 - 宮澤 淳滋

准教授

宮澤 淳滋Junji Miyazawa

担当学科
福祉心理子ども学部 臨床心理学科
研究テーマ
臨床心理学、分析心理学
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Q. 先生の研究・活動を教えてください

精神科病院で青年期や成人期のクライエントに対する心理療法を主に実践してきました。研究としては事例研究が主で、心理療法の中で何が生じるのかを具体的に描写することを目指しています。心理療法で生じることは、目の前のクライエントとの心理療法の過程で生じる、一回限りの出来事ではありますが、面白い事例研究は、それを読んだ人の心を打ち、多少なりとも読んだ人の心理療法のやり方を変え、時にはその人の人生そのものさえ変えることすらあります。その意味で、普遍性をもちうると言えると思います。
私は特にユング心理学や夢分析に関心を持っていて、夢がその人の生き方にどのような影響を与えるかを研究しています。
最近ではフィールドワークも行っていて、臨床場面に限らず、他分野で活動するいろいろな人と出会い、その出会いから心理学とは何かを改めて考え直す、という取り組みも行っています。

Q. この分野の面白さは、どんなところですか?

心理療法はひとつの出会いであって、そこで出会うクライエントは、どの人も独自の存在ですし、毎回新しく出会い直すことになります。そしてクライエントはもちろん一人の人間ですから、完全に理解しつくすことはできません。その都度新しい側面が発見されます。ひとつひとつのセッションが毎回違ったように展開し、どれひとつとして同じセッションはありません。私は夢分析を行うこともありますが、夢を理解するために決まったやり方はなく、その都度何も知らないところから始めなくてはなりません。その意味で、毎回新鮮で、飽きることがありません。
そしてクライエントの新しい側面を発見したり、夢を理解したりするのは、ある種の創造に似た感覚があります。そしてその創造によって、セラピストである私自身の目からうろこが落ちて、私自身が変えられたりもします。それは単なる援助を超えていて、静かでありながらとてもエキサイティングな営みだと思います。

授業紹介

臨床心理面接特論 I

心理療法とは何か、どのようなことを行い、どのようなことが起こるのか、私自身の体験も交えながら、できるだけわかりやすくお伝えしています。この授業は大学院生に向けたもので、大学院で実際に心理療法をはじめるにあたっての留意点を伝える位置づけの授業ですが、ただ受動的に学ぶのではなく、実際に自分が心理療法を行うことを想定した上で、能動的に考えたり、大学院生同士でディスカッションしてさまざまな視点を取り入れたりします。そうした学びそのものが、心理療法と似たところがあると思っています。

メッセージ

臨床心理学は自分の経験をもとに作り上げられる学問です。大学四年間は楽しいことも苦しいこともあると思います。そうしたことのひとつひとつが、かけがえのないみなさんの経験になると思いますし、自分自身の心理学を作り上げることにもなります。自分自身の心を見つめ、そこに何かを発見し、それを深めていっていただけると嬉しいです。

著書

・ユング心理学の〈現在・過去・未来〉(共著)
・日本における「私」の姿(共著)
・私たちのなかの自然 ユング派心理療法から見た心の人類史(共著)
・ホロコーストから届く声(共著)など

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