マインドコントロール入門
心理学総合案内「こころの散歩道」/マインドコントロール研究所/1

1. マインドコントロールとは何か

 人の心や行動を動かそうとする方法には、いろいろなものがあります。家庭のしつけや学校教育やコマーシャルもそうです。私たちの普段の生活でも、人に何かの影響を与えようとして、いろいろなことをします。

あいさつしたり、手紙を書いたり、プレゼントを贈ったり。説教、依頼、説得、脅し、愛の告白、泣き落とし。その人のために、また自分のために、人を動かそうと思うことは自然なことですし、悪いことではありません。

 しかし、どんな方法を使ってもよいわけではありません。脅迫や詐欺は、犯罪になります。倫理的にゆるされない方法もあります。

マインドコントロールは、人を動かす方法の中でもとても悪質で巧妙な方法です。そのワナにはまれば、本当の自分らしさや自分自身の意志を失い、マインドコントロールを使う組織(破壊的カルト)に思いのままに操られてしまうのです。ここでは特に、破壊的な宗教カルトを中心に考えたいと思います。

マインドコントロールで使われる
4つのコントロール

1. 行動のコントロール

 マインドコントロールを使っている組織に入れば、そのメンバーの行動は徹底的に賞賛されるか、罰せられるかのどちらかです。組織の命令に従えば、みんなから今まで受けたことがないようなすばらしい賞賛を受けます。組織の命令に反すれば罰です。これは、心理学的な報酬と罰の効果の悪用です。

 そして細かい行動の指示をします。あれをしなさい、これをしなさい、あれはしてはいけない、これはしてはいけない、といった具合です。たとえばかなりはやい時期から布教活動をするようにいわれ、月に何時間宣教活動をするか、誰とつきあうか、どこに住むか、何時間寝るか、夫婦間のセックスの仕方まで指示されることがあります。ただし本人たちは、良心に従って自発的に行動していると感じています。


2. 思想のコントロール

 徹底した教え込みを行います。彼らは、組織のリーダーたちだけが真理を知っていると主張します。今までのどの宗教でも学問でもわからなかった真理が、今わかったと主張します。神のみぞ知るとか、人類永遠の謎といったものが、今やすべてわかったなどと言うこともあります。

 その教えに疑問をはさみ込ませずに、頭にたたき込むのです。時には、寝る時間もなくなったり、他の本や新聞を読む時間もなくなります。ある団体では、聖書と別の教理の本と、両方を使いますが、実際には教理本を読んだり、そこで引用されている聖書の箇所を開くだけで、自分で自由に聖書を読む時間などは、とてもありません。

 筆者の友人である、ある脱会者は、夜中に必死になって新約聖書を自分で3回通読したときに、組織の教えの間違いに気づいたと語っています。


3. 感情のコントロール

 恐怖と不安の感情を中心にコントロールされます。すぐにハルマゲドンが来て、組織に従わない者は滅んでしまうなどと言います。組織の命令に反した場合には、他のメンバーに叱られるだけではなく、恐ろしいことになると教えられます。

 特に脱会した場合には、最も恐ろしい罰が待っているわけすす。サタンと呼ばれ、口をきいてもいけないと言われることもあります。破壊的カルトに限らず、どの組織でも、そこをやめようとする人にどんな態度をとるかで、その組織の質がわかるかもしれません。

 良心的な一般の宗教は、人に平安を与えますが、破壊的カルトは人を不安にして、組織のために働かせ続けます。


4. 情報のコントロール

 組織に対する批判的情報の禁止です。私は、聖書を読むこともあれば、仏教の本を読むことあれば、宗教に批判的な本を読むこともあります。いくつかの特定の宗教団体が出版している本やパンフレットを読むこともありま。

 しかし、破壊的カルトでは、そのような自由を許しません。特に、脱会者の文書に触れることを強く禁止します。対抗する伝統的宗教の本を厳しく禁止することもあります。マスコミの、第三者的な文書を禁じることもあります。


まとめ

 思想や感情が行動を生みますが、行動することが、また思想や感情を生みます。そして、自分の考えや行動が正しいかどうかを判断する客観的情報はありません。このようにして、人はマインドコントロールされ、組織の奴隷になっていくのです。

 上の4つのコントロールは、ハッサンの「マインドコントロールの恐怖」を参考にしながら、自分でもいくつかの破壊的カルトを思い浮かべながら書きました。すべての破壊的カルトが、上の具体例のすべてを行っているわけではありません。

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スティーヴン・ハッサン 著 浅見定雄 訳
マインド・コントロールの恐怖 恒友出版 

Combatting Cult Mind Control (スティーヴン・ハッサンのホームページ)

その他の参考になる本

マインド・コントロールとは何か
まさか自分が…そんな人ほど騙される―詐欺、悪徳商法、マインド・コントロールの心理学

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