サンタクロースとクリスマスの心理学。大人も子どもも幸せになるために。
心理学総合案内 こころの散歩道/心理学入門/サンタクロース:クリスマスの心理学(新潟青陵大学大学院碓井真史)

子どもがサンタクロースを大好きな理由



心理学者(スクールカウンセラー)がお父さんお母さんに伝えたい
サンタクロースの魅力
:クリスマスに考える子育ての心理学

2006.11.27 (2008.11.8加筆)サンタクロスっているんでしょうか?

 もうすぐクリスマス。クリスマスといえば、サンタクロース。子どもはみんなサンタさんが大好きです。なぜ、子どもはサンタクロースが好きなのでしょう。
サンタクロースがただプレゼントをくれるからだけではないようです。

サンタクロースは、いつも笑顔。いつも穏やか。
サンタは、子どもの話を聞いてくれます。
 大きな体の、おひげのサンタを前にして、小さな子どもはとっ てもうれしそう。でもちょっと、緊張気味。もじもじしながら 、サンタさんに近づきます。恥ずかしそうに、聞こえないくらい小さな声で、「お願い」をお話します。
 そんな時サンタは、「もっと大きな声ではっきりしゃべりなさい」なんて、もちろん叱ったりしません。ひょいと、子どもを抱き上げて、ひざに乗せ、大きな腕で抱きしめて、子どもの口に耳を寄せます。
「さあ、君の願いを話してごらん。」
とっても優しくて、頼りになって、しっかり話を聞いてくれる。よい子の願いをかなえてくれる。それが、サンタさん。
 それ にサンタクロースは、良い子かどうかを外見や、先入観では判断しません。誰が良い子で、誰が悪い子か、ちゃんと見ていてくれるのです。
サンタさんは大忙し。一晩で世界中を周るのですから。でも、どんなに忙しくても、その一人の子どものことを決して忘れません。
 その一人の子どものことを、心から愛し、特別に愛して、その子のためにプレゼントを持ってきてくれるのです。
 子どもがサンタクロースのためにミルクとキャンディーを用意しておけば、どんなに先を急いでいるときでも、きれいに飲んで、食べていってくれます。サンタクロースが、子どもの好意を無にするわけはありません。
「君のことが大好きだよ」。サンタからのメッセージが、ちゃんと子ども達に届く。だから、子どもはサンタクロースが大好きなのです。
 あなたのお宅ではいかがですか。年末であわただしくて、とても忙しくて、それでもあなたのお子さんには、特別に愛してくれる、すてきな「サンタクロース」が、やってくるでしょうか。
サンタクロース

サンタクロースとは
解説(ちょっと心理学

サンタクロースは、いつも笑顔

子どもは、愛されるために生まれてきました。子どもにはビタミンCやカルシウムが必要なのと同様に、愛が不可欠です。両親や祖父母の笑顔は、何よりのプレゼント、心の栄養です。
赤ん坊を使った心理学の実験です。普通、赤ん坊を前にすると、親は笑顔になりますが、心理学の実験でわざと無表情のまま赤ん坊と対面します。赤ちゃんは、お母さんの機嫌が悪いのかななどと考えることはまだできません。それなのに、だんだんむずかるようになり、とうとう泣き出してしまいます。
あなたの笑顔が、子どもにとって最良の環境です。
サンタクロースが届けているのは、愛と笑顔のプレゼントなのかもしれません。

「もっと大きな声ではっきりしゃべりなさい」

 子どもはいつもこどもなりに一生懸命です。でも、大人がイラついていると、つい叱ってしまいます。冷静なときでも、もっと上手にやれと叱ってしまうことがあります。特に有能な親は要注意です。子どものことを愛しているからこそなのですが、子どもなりの努力、子どもなりの成果を認めることができません。そんな態度を取りつづければ、親の思いとは裏腹に子どもはすっかりやる気を失うでしょう。

 サンタクロースは、ありのままの子どもを受け入れます。

サンタクロースは、子どもの口に耳を寄せます。

 子どもの声に耳を傾けるサンタクロース。子どもは親に話したがっています。でも、なかなかはっきりということができません。遠慮して離せなかったり、誤解され、いじけたり、やけになったり。つい心にもない乱暴なことを言ってしまうときもあるでしょう。子どもの不器用な言葉、小さな声を聞こうとすれば、子どもの願いが聞こえてきます。

誰が良い子で、誰が悪い子か。サンタクロースは知っています。

サンタクロースの歌にあるように、誰が悪い子、誰が良い子か、サンタはちゃんと知っています。外見が悪い子達のなかに、とっても人なつっこくて、人とのコミュニケーションを求めている子どもがたくさんいます。

 小さな子どもが、「お母さんのばかばか」といいながらお母さんを叩いている。でもそれは、悪い子だからではない。それは、「お母さん大好き、僕を抱きしめて」っていっているんですよね。

特別に愛して

子どもはみんなと同じように愛されるのでは満足できません。兄弟がささいなことで大ゲンカをすることがありますが、ケンカの本当の動機は、親の愛の奪い合いです。子どもは自分を特別に愛して欲しい、世界一愛して欲しいと願っています。
 サンタクロースは、一人ひとりに特別なプレゼントをします。

子どもの好意を受け止め認める

 子どもは親が大好きです。親に喜ばれる子どもになりたいと切実に願っています。ある親は母の日に子どもが作ってきた工作を見て、「ここをもっとこうすればもっと良くなるわね」と指導をしました。親は、工作の先生ではありません。「ありがとう」ですよね。
 サンタクロースは、幼い子供の小さな好意も、大喜びで受け取ります。

サンタクロースの愛は、ちゃんと子ども達に届く

 君のことが大好きだ。君の話が聞きたい。君からのプレゼントはすばらしい。こういうサンタクロースの気持ちがちゃんと子どもに届きます。今ここを読まれている方々は、みなさん子どもを愛し、大切にしていることでしょう。でも、その愛がこどもにちゃんと届いているでしょうか。一生懸命さのあまり、愛がからまわりしていることはないでしょうか。

子どもはみんなサンタクロースが大好き

 子どもはみんな、お父さんお母さんのことが、大好きです。親のことを愛し、尊敬できる子は、例外なく幸せな子ども達です。サンタクロースのように、子どもに愛される親になりたいですね。それは、親のためだけではなく、子どもの幸せにつながることだからです。
今年のクリスマスが、どうぞその良いチャンスとなりますように。祈っています。
サンタクロースの絵本

サンタクロースについて
解説2(ちょっと聖書とキリスト教と心理学

 クリスマスはサンタクロースの誕生日ではなくて、イエスキリストの誕生を記念した日ですね。
 聖書の記述によれば、イエスが生まれたとき、最初にお祝いにかけつけたのは、貧しい羊飼いたちでした。当時羊飼い達は、ユダヤ人たちの中でさげすまれる人たちでした。もっと立派な聖書学者や宗教家がたくさんいたはずですが、キリスト(メシア、救い主)誕生というビッグニュースを、神は野宿していた羊飼いに真っ先に伝えました。
 2000年前、誇り高きユダヤの民は苦しんでいました。祖国イスラエルはローマ帝国の属国になりさがり、偉大な宗教的指導者(預言者)も、長い間現れず、人々は希望を失いかけていました。その社会の中で、さらに人々の底辺にいる人たちに、神は語りかけたのです。イエスキリストという神からの最高のプレゼントが今贈られたのだと。
「神はそのひとり子(イエス)を賜ったほどにこの世を愛された」(聖書)
***
 サンタクロースのモデルといわれる聖ニコラス(271〜342)は、子どもを愛し、貧しい家庭の子ども達を助けたと伝えられています。
 日本の子ども達はとても豊かです。日本の子どもほど何でも持っている子どもはいないと言われています。たしかにそうでしょう。けれでも、マザーテレサは語っています。
「私達は忙しすぎます。ほほえみを交わすひまさえありません。ほほえみ、ふれあいを忘れた人がいます。これはとても大きな貧困です」
「本当の飢えは、インドやアフリカのような第三世界にありません。本当の飢えは、ニューヨークや東京にあります。だれからも受け入れられず、だれからも愛されず必要とされない悲しみ、これこそ本当の飢えなのです。」
「人は一切れのパンではなく、愛に、小さなほほえみに、飢えているのです。愛を与え、愛をうけとることをしらない人は、貧しい人の中でも、もっとも貧しい人なのです。」
 日本には、このように「飢えている」「もっとも貧しい」人がたくさんいることでしょう。それは、特別な地域、特別な家庭の中にいるのではなく、私達のとなりの家にも、いえ、私の家の2階の部屋にもいるのかもしれません。
マザーテレサは言います。
「愛はまず家庭からはじまります。愛は家庭に住まうのです。」
 心理学を学んだり、スクールカウンセリングの仕事をしていて、本当に思います。結局は、「愛」の問題に行き着くのだと。愛されていないともがき苦しんでいる子ども達がいます。その泣いている子ども心をもったまま大人になり、今も悩みつづけている大人がいます。
あなたのご家庭に、愛のプレゼントがとどきますように。
今年のクリスマス。あなたがすてきなサンタクロースになれますように。

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サンタクロースに関するその他

CD『誰もがきっと誰かのサンタクロース 』2008.12.10リリース誰もがきっとだれかのサンタクロース
内容紹介 amazon・公式サイト(この曲がBGM)
広い世界の中で、あなたにとって“かけがえのない存在=サンタクロース”は必ず存在します。そして同じように、きっとあなたをかけがえのない存在だと思ってくれている人もいるのでしょう。どんな人も平等に“かけがえのない たった1人”であり“みんな誰かの宝もの”なのだから…。そんなメッセージを込めた、三枝夕夏 IN dbのクリスマスソングが出来上がりました。・美しく切ないメロディー、ハートウォーミングな歌詞の極上のバラードチューン。



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