偏見と偏見解消の心理学
心理学総合案内「こころの散歩道」/今日の心理学
病気って、何となくカッコ悪い病気と、カッコイイ病気があるんですよね。昔だと、青年芸術家が結核になってせき込んでいるなんて、何となく絵になる。 「巨人の星」に出てきた主人公の恋人はたしか「骨肉種」っていう病気で死にます。桜貝のようなきれいなピンク色の爪に、ぽつんと小さな黒い点。それが骨肉種の表れ。う〜ん、すてきだね。 もちろん実際は、命に関る病気なんだから、カッコイイなんてことはありません。でも、私がガンになったらきっとみんな同情してくれるでしょうが、もしも精神病やエイズになったら、同じような温かい態度で接してもらえるでしょうか。 (友達で肺結核でしばらく入院した人がいますが、あまり病名を人に話したくないといっていました。移る病気だから嫌がられるというのです。) 今回のタイトルのは、今日の天声人語の中の一節です。ハンセン病(らい病)の患者さんの言葉です。この病気の患者さんは、昔からとても辛い目に合ってきました。精神病もそうですが、人類が古代から知っている病気であり、強い偏見がずっと続いてきた病気です。 エイズも、当初はすさまじい偏見の対象でしたが、莫大なお金と労力をかけた運動によって、ずいぶん改善されてきたように思います。 とはいえ、数年前にある人から聞いた話。日本からアメリカにやって来てエイズに感染し、日本に帰るに帰れなくなってしまった女性達が大勢いるということです。彼女達は身体だけでなく、精神的にかなりまいっているようです。これが、ガンや白血病ならすぐに日本に帰ってこられるでしょうに。 しかし、やっぱりエイズへの社会的偏見は劇的に変化しました。これだけの労力を注げば、偏見は減るのでしょうか。だとしたら、エイズだけでなく精神障害にも、他の偏見に満ちた病気にも、ぜひ労力をかけて欲しいものです。 (エイズは登場してすぐに偏見への対策がとられたので、効果があったのかもしれません。) 患者さんも、家族も、病気で苦しみ、そしてそれ以上に、偏見に苦しめられています。 *偏見とは:あるグループに属しているというだけで、その人に対して持ってしまうマイナスのイメージ。 |
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『偏見解消の心理―対人接触による障害者の理解』
『ステレオタイプの社会心理学―偏見の解消に向けて (セレクション社会心理学)
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『人についての思い込み〈1〉悪役の人は悪人? (心理学ジュニアライブラリ)』
『偏見と差別のメカニズム (人権学習ブックレット)』
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