腕に自信のある剣豪が修業の旅へ。荒々しく、力強く、ばったばったと強敵を打ち倒していく。と、そんなある日、いかにも弱々しそうな老人が登場。ところがこの人、剣豪を少しも恐れない、ひょうひょうとしている。 えい!やあ!と、老人に切りかかったところ、ひょいと、真剣白羽取り〜とか、鍋のフタでポンと、かわされてしまった。おお、この老人はすごく強いんだあ。 何かドラマでありそうな話。主人公は自分を上回るすご腕と立ち向かい、初めて恐怖を覚えたりするが、師匠となった老人を通し、本当の強さを身に付けていく。 * 弱いイヌほどよく吠える、などと申しますが、強がっている人ほど、心の底に劣等感を抱えた弱い人だったりします。酒に飲まれ、ニコチン中毒になっている人ほど、いつでもその気になれば、酒もタバコもやめられるさ、なんて思っています。 AAという断酒会は、まず自分が酒に負けてしまい、自分だけの力では酒をやめられないと自覚するところからスタートします。自分の弱さを知ったとき、酒をやめる強さを身に付け始めるのです。 無知の知という言葉がありますが、弱さも同じかな。自分の弱さを知ることが、強さの始まりなのでしょう。 * しかし弱さを自覚することは、自信を失うことではありません。心理学の研究によると、禁煙するときに、どうせ自分は禁煙なんかできないだろうと思ってしまうと、実際に禁煙に失敗してしまうことがわかっています。 自分の弱さを知る。しかし、だからといって希望を失うのではなくて、だからこそ、いたわりあい、愛し合い、助け合う。弱さの中に強さがあることを知る。自信をもって歩む。自分を知る。そして肯定的に受け入れる。これが、心理的に健康な人間です。 マザーテレサというもう亡くなったおばあちゃん。どう見ても弱々しそうなおばあちゃんでしたが、記録映画とかを見ると、彼女の意志の強さには驚かされます。 恵まれた家庭で育ち、貧民街に飛び込み、自分の無力さを知ります。お前なんかに何ができる、そんなことそしても無駄だ。いろんな声が聞こえます。それでも彼女は希望を失わず、使命感をもって、目の前の一人を助けます。 有名になった後も、彼女の思いは変わりませんでした。目の前の一人を助ける。それが、20世紀の奇跡を生み、マザーの働きは世界に広がっていったのです。 「私は弱いときこそ強い。」聖書 当サイト内の関連ページ |
BOOKS
『強い人と弱い人』
『新約聖書入門―心の糧を求める人へ (知恵の森文庫)』
『聖書 - 新共同訳』
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