心理学総合案内「こころの散歩道」/今日の心理学

● 正当防衛、仕返し、恨みの心理
やりすぎてしまうのはなぜ

こころの散歩道 DAY by DAY今日の心理学 2001.1.25

 昨日、警官に襲いかかった少年が銃で撃たれる事件がありました(最近の少年犯罪)。ヤフーの掲示板などを見ると、警官の行為は「正当防衛」であり間違っていないという意見が多いようです。
 詳しい状況がわからないので、何とも言えませんが、私も今のところ警官の行為を非難する気にはなりません。

 さて、その事件はさておき、一般論として。

 正当防衛という法律用語は、普段の会話でもよく聞きますね。ただ、実際の法律上は、そう簡単には正当防衛とは認めてくれないようです。

 もし正当防衛と認められれば、相手を殴っても、殺しても罰せられることはありませんが、自分の身を守るためとはいえ、行き過ぎたことをすると、「過剰防衛」とされ、それなりに罰せられます。

 ちなみに、正当防衛に関する法律には、こうあります。

「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない」

 昨日やられた仕返しを今日するようなときは、緊急の場合ではありませんから、正当防衛にも、過剰防衛にすらなりません。

 緊急の場合で、自分や他人を守るために、どうしようもなくてやった行為でなければなりません。そして、そういう行為でも、「防衛の程度を越えた行為」は、過剰防衛となり、場合によっては罰せられることもあります。

 自分や家族の身が危ないとき、そんなに冷静になれる人はいませんから、後から法律家が見れば、過剰防衛と言われるようなことをしてしまうのでしょう。

 後になって、冷静に考えても、やられたこと以上のことをやってしまいがちなのが、人間です。

 子どもたちをぐるりとまわるく並ばせて、順番に前の人の頭を叩かせます。一番最初の人は、弱く叩きます。自分が叩かれたのと同じ強さで、前の人を叩きなさいと指示します。

 子どもたちが言われた通りにやれば、殴る順番が何回まわっても、叩く力は変わらないはずです。ところが、実際は、だんだん力が強くなり、最後は泣くやら、ケンカするやら。

 目には目をというのは、とても厳しい態度のようでもありますが、反面、それ以上のことはしてはいけないという意味もあります。

 動物は、普通は必要以上の攻撃はしないし、過剰防衛をすることもないのですが、人間は難しいですね。

 人から被害を受けた、人にやられたという意識は、単純に物理的な衝撃を越えて、はげしい怒りや恨みの心理を引き起こします。

 同じようにぬれてしまった場合でも、夕立でぬれたのと、間違えて水をかけられてしまったのと、だれかにわざと水をかけられたのでは、私達の反応はまったく異なるでしょう。

(犯罪者はもちろん悪いことをした人間ですが、だからといって、「殺してしまえ!」などという意見が出てくるのも、過剰な反応でしょうか。)

*恨みの心理(京都小学生殺害事件の犯罪心理学)

BOOK
「うらみ」の心理―その洞察と解消のために

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