報酬と罰、ご褒美の与え方、ほめ方叱り方の基礎心理学。
心理学総合案内「こころの散歩道」/やる気研究所/2報酬と罰の効果
やる気に与える報酬と罰の効果
|
ネズミを下の絵のようなT型迷路に入れます。ネズミは、右にも左にも行けます。もし、右に行かせたいと思うなら、右にエサなどの報酬をおけばよいのです。ネズミはじきに右に行くことを覚えるでしょう。
それでは、右にエサを置くかわりに左に電気ショックの様な罰を置くとどうでしょうか。ネズミは、右に行くようになるでしょうか。なかなか、そうはなりません。
それでは、もっと罰をもっと強くするとどうでしょう。そうすると、ネズミは、パニックを起こし、右に行くどころか、前に進むことさえしなくなり、すみの方にうずくまったり、迷路から飛び出そうとします。このように、罰を使っても、なかなか効果的に人や動物を動かせないのです。
人間と動物を一緒にして考えることはできませんが、動物実験が医学の役に立っているように、心理学でも人間行動の基礎を考えるには役に立ちます。
たとえば、学校に行きたがらない子どもについて考えましょう。上の迷路でたとえれば、右に行くのが学校へ行く道、左へ行くのが学校へ行かない道です。学校に行きたくないと言えば、親は叱りつけます。
それでも行かなければ、脅したり、もっと恐い人が登場したりします。体罰が与えられることもあります。そうすれば、その子は学校へ行きたくなるでしょうか。いいえ、かえって家に閉じこもったり、家の中で暴れたりするでしょう。
学校に行かないことに罰を与えるのではなく、学校に行くことに報酬が与えられれば、その子は学校に行くようになるでしょう。
できれば、外から与えられる報酬ではなく、学校へ行くこと自体に報酬があれば、子どもは喜んで学校へ行きたくなるでしょう。友達と遊ぶのが楽しい、給食が楽しみ、何かを学ぶことは楽しいと思えるような援助が必要なのです。
右に行けば報酬、左に行けば罰、ではなくて、どちらに行っても罰が与えられるときはどうでしょう。
ネズミが台の上から右にジャンプすれば報酬、左にジャンプすれば罰、というふうにすると、ネズミは右にジャンプするようになります。ところが今度は、左右どちらに飛んでも罰があるようにします。するとどうなるでしょう。ネズミは、突然全く関係のない方向にジャンプを始めます。人間の場合はどうでしょう。たとえば、明日は試験あがるとしましょう。試験勉強をしないで悪い成績を取ると怒られてしまう。でも、いま遊ぶのをやめてつらい勉強をするのもイヤだ。つまり、勉強をするのもイヤ、勉強をしない結果もイヤ。その人にとっては、どちらに行っても自分にとってはイヤな罰が待っているのです。
そんなとき、人は突然掃除がしたくなったりします。本が読みたくなったりします。ネズミのように、別方向にジャンプし始めるのです。
人間の場合には、ネズミと違って、自分で自分の行動に理屈を付けます。勉強をしないで、遊んだり寝たりするのは、やはり不安や罪悪感を感じてしまってイヤなのです。
でも、掃除や読書は、悪いことではないので、不安や罪悪感を感じることなく、勉強するかしないかの苦しい選択から逃げることができるのです。もちろん、実際の問題解決にはなっていませんが。
関連ページ:体罰の心理学:限界と副作用
→次のページへ進む報酬と罰の効果2:叱ること、罰の問題点
前のページへ戻る報酬の効果:やる気を高めるほめ方、報酬の与え方
***
心理学入門|社会心理学入門|いやし・臨床心理学入門|やる気の心理学|マインドコントロール | ニュース|科学と宗教(心理学とキリスト教||仕事|個人|リンク|ホーム|
比較.comで簡単スクール選び!資格と講座の資料を無料で一括請求