大阪パチンコ店放火、誰でもいいから殺したかった。
新潟青陵大学大学院(碓井真史) / 心理学 総合案内 こころの散歩道 (心理学講座)/犯罪心理学/大阪パチンコ店放火の犯罪心理学



碓井真史著『嘘の正しい使い方:ホンネとタテマエを自在に操る心理法則』
毎日新聞、テレビ朝日で紹介されました

大阪パチンコ店放火事件の犯罪心理学

誰でもいいから殺したかった

2009.7.6

大阪パチンコ店放火殺人事件のあらまし

2009年7月5日大阪市此花区のパチンコ店が営業中に放火された。容疑者は店の入り口付近でガソリンをまき放火。4人が死亡、19人が重軽症を負った。
6日、山口県警に出頭した男(41)が、容疑者として逮捕された。容疑者は「誰でもいいから殺したかった」と語っている。(詳細は不明2009.7.6)

誰でもいいから殺したかった

殺人の一番多い動機は、人間関係のもつれです。誰かを憎み、邪魔だと思い人は人を殺します。あるいは、金目当てで殺すこともあるでしょう。
しかし、2008年には、秋葉原通り魔事件をはじめ、いくつもの事件で「誰でもいいから殺したかった」と語る加害者が現れてしまいました。
そして、2009年にも、また悲劇は繰り返されました。たまたまそこに居合わせただけの人々が、「誰でもいいから殺したかった」と語る加害者に命を奪われてしまったのです。

大量殺人の心理

ほとんどの殺人者は、一人しか殺しません。それなのに、一度に大量の人々を殺害する大量殺人者は、ほとんどの場合、逃げることを考えていません。
今回も、防犯カメラに簡単に映されています。何人もの人が、加害者の姿を見ています。
大量殺人者の多くは、その場で射殺されるか、逮捕されるか、自殺するか、あるいはまともに逃亡することもなく、すぐに逮捕されたり、自首したりしています。
普通の犯罪者のように、自分が得になることを考えたり逃げようとしたりはしないのです。
彼らの心には、激しい絶望感と孤独感があります。自分の人生を終わりにしたいと思っています。そしてその最後に、「一発大逆転」を考えます。
自分を消すと同時に、社会を破壊することを考えます。こんな自分も、こんな世の中も、終わってしまってよいと思うのです。
そして最後に大きなことをして、自分の気持ちを世間に知らせようとします。
彼らの多くは、声明文を出したり、遺書を残したり、逮捕後に雄弁に自分の思いを語ります。大量殺人は、表現としての殺人といえるかもしれません。

放火犯の心理

かつての放火の動機は、怨恨、恨み、激しい怒りでした。
しかし放火犯罪の心理学的な研究 によれば、現代型の放火は、住んでいる人へのうらみではなく、連続して放火する犯人がいるように、 社会全体への不満をはらすために、放火という行為に出ることが多く見られます。
あわててる人を見て楽しんだり、大騒ぎになることを喜ぶような人々です。
今回の場合は、建物に火をつけるだけではなく、明白な殺意を持っていたようです。
自分の人生がうまくいかないことで、社会の人々への不満を高めていったのかもしれません。

新宿バス放火事件

今回の事件を聞いて、すぐに思い出したのが、この新宿バス放火事件です。
1980年、新宿西口に止まっていたバスに、男が乗り込み、ガソリンをまいて火を付けました。6人が死亡、14人が重軽傷を負いました。
加害者の男性は、彼なりに頑張って生きてきたものの、なかなかうまくいかない人生でした。犯行直前にも通行人に邪魔者扱いをされ、怒りを爆発させます。
犯人は犯行後すぐに逮捕され、死刑が求刑されましたが、心神耗弱(こうじゃく)状態にあったとして、無期懲役となりました。
犯人の男性は、のちに獄中自殺をしています。
この事件では、乗客の一人で大けがを負った女性が、手記『生きてみたいもう一度、―新宿バス放火事件 』(1983)を書いています。この手記は、桃井かおり主演で映画にもなっています(『生きてみたいもう一度:新宿バス放火事件』1985)。(私も映画を見ましたが、事件の悲惨さ、治療の苦しみ、犯人との交流を通して、生きる意味とすさまじさが伝わってくる良い映画でした。)

誰でもいいから殺したかったという思い

大金を手に入れる目的でもなく、激しい恨みでも怒りでもなく、誰でもいいから殺したかったと語る人々。本当は、誰でもいいから、自分に注目してほしかった、誰でもいいから愛して、認めてほしかったと思っているのかもしれません。
命を奪われてしまった人々とご遺族、大きなけがを負われた方々とご家族にとっては、「誰でもよかった」と語る犯人の言葉に、なおさら激しい怒りや悲しみを感じられることでしょう。そんな理由で、彼は火をつけ、見ず知らずの人々の命を奪ったのかと。
悪いのは、もちろん加害者に決まっています。
しかし、同時に社会に絶望する人々を、これ以上増やしてはいけないと、思うのです。


犯罪心理学:心の闇と光

心理学 総合案内 こころの散歩道

ウェブマスターの本

★2008年9月20日緊急発行★
『誰でもいいから殺したかった! 追い詰められた青少年の心理』(アマゾン)
秋葉原通り魔事件、八王子通り魔事件などから、現代青年の心理に迫る。本書の詳細(目次)


  
「嘘の上手な使い方」がテレビ朝日『大人のソナタ」で紹介されました。
毎日新聞2009.6.7朝刊1面コラム欄で紹介されました。

***

放火犯罪に関する本(アマゾン)

図解 犯罪心理分析マニュアル―通り魔・放火犯から大量殺人・連続殺人犯まで

放火犯が笑ってる―放火の手口と消防・警察の終わりなき戦い (イカロスMOOK)

僕はパパを殺すことに決めた 奈良エリート少年自宅放火事件の真実

都市型放火犯罪 放火犯罪心理分析入門


当サイト内の関連ページ

大阪・難波の個室ビデオ店放火事件の犯罪心理学と災害心理学

奈良家族3人放火殺人事件の犯罪心理学

新宿歌舞伎町ビル火災から考える災害心理学。あなたの命を守るために

秋葉原通り魔事件(秋葉原無差別殺傷事件)の犯罪心理学

バージニア工科大学銃乱射事件の犯罪心理学(大量殺人の心理)

当サイト内の最近の更新ページ
京都教育大生の集団女性暴行事件の犯罪心理学
自白と冤罪の心理学:足利事件から考える
秋葉原無差別殺傷事件の犯罪心理学2:事件から1年
千葉団地殺人、次女連れ去り事件の犯罪心理学


「心理学総合案内・こころの散歩道」から5冊の本ができました。
2008年9月緊急発行
碓井真史著『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』
誰でもいいから殺したかった! 追い詰められた青少年の心理』 
2008年8月発行
碓井真史著『嘘の正しい使い方:ホンネとタテマエを自在に操る心理法則』
人間関係が上手くいく嘘の正しい使い方ホンネとタテマエを自在に操る心理法則
2000年

なぜ少年は犯罪に走ったのか
2001年
「ふつうの家庭から生まれる犯罪者」
ふつうの家庭から生まれる犯罪者
2000年

なぜ少女は逃げなかったのか続出する特異事件の心理学
「誰でもいいから殺したかった青年は、誰でもいいから愛してほしかったのかもしれない。」
☆愛される親になるための処方箋 本書について(目次等)
『ブクログ』書評「〜この逆説的かつ現実的な取り上げ方が非常に面白い。」
・追い詰めない叱り方。上手な愛の伝え方 本書について(目次等)
bk1書評「本書は,犯罪に走った子ども達の内面に迫り,心理学的観点で綴っていること,しかも冷静に分析している点で異色であり,注目に値する。」  本書について 「あなたは、子どもを体当たりで愛していますか?力いっぱい、抱きしめていますか?」 本書について 「少女は逃げなかったのではなく、逃げられなかった。それでも少女は勇気と希望を失わなかった。」 本書について


「犯罪心理学:心の闇と光」へ戻る
一般的な犯罪の心理、殺人の心理などはこちら。




「心理学総合案内こころの散歩道」
トップページへ戻る

アクセス数3000万の心理学定番サイト

心理学入門社会心理学心のいやし・臨床心理学やる気の心理学マインドコントロール| ニュースの心理学的解説自殺予防の心理学犯罪心理学少年犯罪の心理宗教と科学(心理学)プロフィール・講演心療内科心理学リンク|今日の心理学心理学うつ病の人との接し方 心の病入門:神経症(ノイローゼ)と精神病の違い