こころの散歩道/自殺と自殺予防の心理/子供の自殺新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科・ 碓井真史)

子どもの自殺
その特徴と予防方法

衝動性・確実な手段・小さな動機・影響されやすさ・不確かな死生観
子どもの自殺の予防・視を考えている子どもたちへ

ウェブマスターによる公開講座「こころの健康を取り戻そう」2010.3.13 ☆

「おくりびと」「つみきのいえ」アカデミー賞から思う 命と死と人生の心理学

☆☆☆

 ここ(自殺と自殺予防の心理)では、青年の自殺、中年の自殺、高齢者の自殺などを取り上げてきましたが、
今回は、子どもの自殺の特徴について。

 今までに何度か、子どもに死なれた親を見ました。病死、事故死、自殺。親にとって、子どもが先に死んでしまうことは、耐え難い辛さです。

 まして、自殺となると.....。

(前にも書きましたが、)
みなさん、親よりは長生きするようにしましょうね。


子どもの自殺の特徴

1. 衝動性

 大人から見ると、何の前触れもなく、突然自殺してしまいます。年齢が低いほど、その傾向は強いようです。理性が十分発達していないことや、感情が高まりやすいことが原因と考えられます。

2. 確実な手段

 高齢者の自殺は、確実な方法をとることが多いとお話しましたが、子どもも、首つりのような致死度の高い方法をとることが多いようです。

 ただし、高齢者の自殺が、考え抜いた末の覚悟の自殺であるのにたいして、子どもの自殺は、感情的になって実行しやすい方法を選んでしまたといえるでしょう。

(青年期の自殺は、しばしば時間のかかる自殺方法を選ぶ。そのため、他の年齢よりも、自殺未遂者の数が多い)

3. 小さな動機

 子どもの自殺にも動機はありますが、大人には理解できない小さなきっかけで自殺してしまうことがあります。大人にとっては小さなことでも、子どもにとっては死を考えるような深刻なことかもしれないのです。

4. 影響されやすさ

 友達の自殺や、自殺報道に影響されやすいので、周囲の注意が必要です。

5. 死生観

 死を現実的なものとは考えられなかったり、美化してしまうことがあります。
(詳しくはこちら→当サイト内の関連ページ:子どもの死生観と教育:子どもに死と命をどう教えるか

6. その他

 純粋すぎたり、敏感すぎること。不登校、家出、非行などが自殺の前に起こることもあります。友人に同情して一緒に死んだり、後追い自殺することもある。

2000.11.10


子どもの自殺の予防(2003.4.2加筆)

 大人は、子どもを交通事故から守るように、自殺からも守らなければならないと思います。子どもの自殺を予防する特効薬があるわけではありませんが、日ごろから気をつけたいと思う点をあげたいと思います。

子どもに共感し、孤独感を与えないようにしよう。

 叱るのも、しつけるのも大切ですけれども、子どもの心に共感することがその土台になります。子どもの悲しさ、淋しさ、悔しさに、まず寄り添いましょう。説教する前に、子どもの話を聞きましょう。
「泣く者とともに泣きなさい」(聖書)。
 こどもがどんなに失敗しても、悪いことをしたときでも、最後の最後は親が愛し、守ってくれるという安心感を子どもに与えましょう。良い子だから愛するのではなく、子どもの存在自体を無条件に愛しましょう。
 子どもが、失敗したとき、起こられたとき、挫折したとき、絶望し、孤独感を持たないように、子どもを守りましょう。
 子どもを甘やかせというのではありません。すぐに精神的に負けてしまう弱い子を育ててしまっては困ります。競争すること、がまんすること、チャレンジすること、時には挫折を味わうこと。すべて、大切です。
 子どもにいろんな体験をさせましょう。ただし、その体験を通して成長するためには、愛の土台が必要です。
 家族全体に愛の雰囲気が必要です。夫婦も仲良くできるといいですね。
 また、東京都精神医学総合研究所の高橋祥友先生によると、「自殺の危険の高い子どもの背後には、同様の親がいることが多い」といいます。
 子どもの自殺を防ぐためには、まず大人が、生きる意味を見出していること、輝いていることが大切だと思います。
・身近に子どもの自殺があった場合、子どもの自殺が大きく報道された場合には、子どもは影響を受けやすいのですから、特に注意しましょう。
当サイトの関連ページ
子どもの死生観と教育:日本人の死生観の中で子どもに死と命をどう教えるか
いじめ自殺を防ぐために

 受験心理学:緊張と不安に負けない方法
子どもがサンタクロースを大好きな理由:子育て最大のコツ
☆当サイトから生まれた本(2008)
誰でもいいから殺したかった! 追い詰められた青少年の心理』
(本当は誰かに愛してもらいたかった青少年のため。愛される親になるための処方箋)
人間関係が上手くいく嘘の正しい使い方』
(子どもを追い詰めない叱り方。子どもに愛を上手に伝える方法)

*青年期の自殺(05.9.15加筆)

青年期の自殺については、他でも書いていますが、一言で言えば、助けを求める心のSOSです。命をかけた人生最後の賭けに出たともいえるでしょう。
彼らの死にたい思いは真実ですが、自分でも気づかない心の底で生きたいと思っています。だから、彼らは死に方にこだわります。ただ死ねればよいのではありませんから、美しい死に方、淋しくない死に方を探します。ネット集団自殺なども、その一つです。
決して狂言自殺ではないのですが、彼らは、薬を大量に飲み、あるいは屋上のフェンスを越えたところでたたずみながら、心の底では待っているのです。誰かが気づき、誰かが問題解決に手を貸してくれるのを。自分の苦しい気持ちを理解してくれる人を、待っているのです。
青年達は、大人から見ると、死ぬ理由とも思えない理由で死を選びます。彼らは、もしかしたら積極的に死にたいと思っているのではなく、積極的に生きていくという理由を失っているのかもしれません。
若者達に、「死にたい気分」が蔓延しているように思えてなりません。
中学生の自殺の場合などは、子どもの自殺の特徴が見られることもあれば、青年期の自殺の特徴が見られることもあるでしょう。
当サイト内の関連ページ
ネット集団自殺(ネット心中)の心理(自殺系サイト問題)
硫化水素自殺から考える 自殺予防の心理学

死を考えている子ども達へ、青年達へ。05.9.15

ごめんね。君たちが「楽しい!」って感じられる社会を作ってあげていなくて。ごめんね。

ただ、あなたのことを大事に思ってくれている人、きっといると思うんです。
君のことを心から心配してくれている人、きっといると思うんです。
今まで、裏切られてきましたか。絶望してきましたか。ごめんね。
君にひどいことをしてきたおとなたちが、きっとたくさんいるんだよね。ごめんね。
大人の一人として、謝ります。
それでも、すべての大人がそうじゃないと思います。
大人のすべてに絶望しないで。
社会のすべてに失望しないで。
誰かに、誰でもいいから誰かに、話をしてみてください。
生きていこうよ。ね、弱音をはいてもいい。怒ってもいい。
失敗だって、挫折だって、ある。
それでも、君は一人ではない。君も愛されているのだから。
当サイト内の関連ページ
とてつもなく悲しいとき、 どうしようもなく落ち込むとき

いじめ自殺を防ぐために
どうして生きることを勧めるのですか (メールに答えて)
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☆ 君は大切な存在だと伝えるために ☆

マックス・ルケード著 『たいせつなきみ 』(絵本)(16) いのちのことば社
 優れた人には金のシール、だめな人には灰色シールをくっつけあって暮らしている世界。ダメ印シールばかりだった主人公が、本当の自分の価値に気付きます。君もかけがえのない存在なのだとわかる絵本です。私はあちこちの講演会で朗読しています。
☆命と人生について知るために☆
レオ・パスカーリア著 『葉っぱのフレディ―いのちの旅 』(絵本)(41) 私の大好きな絵本の一つ。時々学生の前で朗読します。
 春に生まれた葉っぱのフレディが、自分という存在に気づき、成長し、「葉っぱに生まれてよかったな」と思い、「葉っぱの仕事」を終えて冬に土へとかえっていくまでの物語。死を怖がるフレディに親友のダニエルが答える。「変化するって自然な事なんだ…死ぬというのも 変わることの1つなのだよ」。(商品説明より)

 

子どもの死生観と教育:日本人の死生観の中で子どもに死と命をどう教えるか


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「心理学総合案内・こころの散歩道」から5冊の本ができました。
2008年9月緊急発行
碓井真史著『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』
誰でもいいから殺したかった! 追い詰められた青少年の心理』
2008年8月発行
碓井真史著『嘘の正しい使い方:ホンネとタテマエを自在に操る心理法則』
人間関係が上手くいく嘘の正しい使い方ホンネとタテマエを自在に操る心理法則
2000年

なぜ少年は犯罪に走ったのか
2001年
「ふつうの家庭から生まれる犯罪者」
ふつうの家庭から生まれる犯罪者
2000年

なぜ少女は逃げなかったのか続出する特異事件の心理学
「誰でもいいから殺したかった青年は、誰でもいいから愛してほしかったのかもしれない。」
・愛される親になるための処方箋
『ブクログ』書評「〜この逆説的かつ現実的な取り上げ方が非常に面白い」。

・子どもを追い詰めない叱り方。愛の上手な与え方。
bk1書評「本書は,犯罪に走った子ども達の内面に迫り,心理学的観点で綴っていること,しかも冷静に分析している点で異色であり,注目に値する。」  本書について 「あなたは、子どもを体当たりで愛していますか?力いっぱい、抱きしめていますか?」 本書について 「少女は逃げなかったのではなく、逃げられなかった。それでも少女は勇気と希望を失わなかった。」 本書について