またネットで集団自殺？

ネット自殺・自殺報道・群発自殺、自殺連鎖を防ぐ

2003.3.5

ウェブマスターによる新刊（2010年5月27日発行）
『あなたが死んだら私は悲しい：心理学者からのいのちのメッセージ』
自殺といのちについて考える全てのひとのために

　先月埼玉で、インターネットの自殺系サイト（自殺掲示板・心中掲示板）で知り合った若い男女３人が、しちりんを使った一酸化中毒で自殺するという出来事がありました。

　そして、今日03.3.5、またネット集団自殺かと思われる報道がありました。

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　５日午後、津市内で、若い男女３人が車内で亡くなっていました。車内からはしちりんと遺書らしいメモとノートパソコンが見つかりました。死因は一酸化炭素中毒でした。

　今日3.5現在、ネットを使って知り合ったという直接の証拠はありませんが、警察では、亡くなった３人には接点がなく、インターネットを通して知り合った可能性もあるとみて調べています。

　前回の集団自殺と同様の若い３人の男女、しちりんをつかった方法などから推測すると、まったくの偶然ではなく、前回のネット集団自殺に関する報道に何らかの影響を受けたのではないかとも考えられます。
　

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　大きな自殺報道の後には、自殺が増えやすくなることは、自殺研究の上では常識です。このような、まるで伝染病のように広がっていく自殺を、群発自殺（連鎖自殺）といいます。

　有名人の自殺や、「いじめ自殺」「不況自殺」などと名づけられてセンセーショナルに大きく報道された後には、自殺が増えてしまいます。

　もちろん報道自体が悪いわけではありませんが、注意が必要なのは言うまでもありません。

　死者を鞭打つようなことはできませんが、自殺を美化したり、正当化するような報道は危険です。自殺方法を詳しく報道しすぎたり、自殺場所などの映像を繰り返し放送することなども、自殺を誘発する危険性があります。

　日本では特に、集団自殺が大きく報道されるようです。また、インターネットが絡むと、他のニュースよりも大きく扱われがちです。こうして、０３年２月の「ネット集団自殺」も大きく報道されたのでしょう。

　もしもその報道が、今回の集団自殺に影響を与えていたとすると、大変残念です。

　自殺報道には、自殺予防の側面が欠かせません。大きく報道する際には、では自殺を予防するにはどうしたらよいのかといった側面からの専門家のコメントや、相談窓口の紹介などが、ぜひとも必要です。

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　多くの人が自殺報道から影響を受けてしまいます。特に、報道された自殺が起きた場所の近くの人や、似たような状況にある人が危険です。特に若い人々は、マスコミからの影響を受けやすいので、一層の注意が必要です。

　まず、私達がこの事実を知ることが大切だと思います。そして、今回のニューに関して言えば、若い人々で、淋しさを感じつつ、ネットに向かっている人々への温かな関心が必要です。（もっとも、こういう人って、たくさんいるのでしょうが）

　以前自殺未遂を起こし人、別れをほのめかす人、自殺を口に出す人、このような自殺リスクが高い人々に、温かな関心を向けましょう。あなたの一言が、彼らを救うことになるかもしれません。

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　インターネット上には、たくさんの自殺系サイトがあります。それだけみんな本当は話したがっているのです。

　私の個人的な体験ですが、大学生達にちょっと語る（書く）きっかけを与えてあげると、多くの人が、かつて自殺を考えたことがある、こんな辛いことがあった、悲しいことがあったと、語り始めます。

　たくさんの人たちが、死を考えるほどに悩み、誰にもいえないと思いつつ、誰かに話したいと願っています。

　その思いをかなえてくれているのが、インターネットの自殺系サイトなのでしょう。自殺について語ること自体が悪いわけではありませんが、やはり危険性はあります。

　自殺系サイトやら心中掲示板ではないところで、自分の思いが出せる場所を作っていきましょう。

　彼らは話したがっています。聞いてくれる人を探しているのです。

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　自分の気持ちを話さないままで終わりにしてしまうのは、くやしいよ。誰かに話そうよ。

東京いのちの電話　 (03)3264-4343

NPO 国際ビフレンダーズ・大阪自殺防止センター　(０６)６２５１－４３４３

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