酒鬼薔薇聖斗の「聖なる実験」

14才の深層心理を探る その2

「透明」を「実在」に変える視線

酒鬼薔薇聖斗の「聖なる実験」

 大澤真幸

要約

・少年Aは、周囲から無視され、「透明な存在」となった。そして、犯罪行為の結果、周囲から注目される「実在」となった。

・少年は、自分の実在を示す「絶対的な他者」を求めていた。それは、通常は家庭の中の父である。しかし、一見問題の無い調和的な家庭の中で、彼は絶対的他者を見いだすことができず、それを警察に求めてしまった。


コメント

 筆者は、社会学者です。上のように要約してしまうと、面白みが無いのですが、実際は、宮沢賢治の作品を使用し、社会への深い洞察に基づく、大変面白い読み物になっています。

 主張の骨子は、一般的な非行少年の心理で言われていることと、大きな違いはないと思います。

 ところで、社会学者と心理学者は、同じようなテーマを扱っても、見方がずいぶん違います。良く言えば、社会学者は、心理学者の見えない人間の深層や社会全体の隠れた姿を示してくれます。悪く言えば、何だか大風呂敷で、根拠のはっきりしないことを述べているようにも感じます。

(たとえば、少年が被害者の首を門の脇の塀の上に置こうとしていたことはわかるのですが、なぜそこから、「このことは、少年が、首の視線が、校門を入ってくる者たちを睨みつける、という構図に執着していたことを示している」といえるのか、私には良くわかりません。ジャーナリスティックな表現や文学的な表現ならば問題ないと思いますが、サイエンスとしては、どうしてそう断定できるのかが、わからないのです。)

(それでも、世間の人が面白いと感じるのは、社会学者の話の方かなあ。心理学者も頑張らなくては。)

大澤真幸氏の著書

98.7.6

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