大学からのお知らせ

平成28年度 新潟青陵大学 卒業式式辞

平成28年度卒業式式辞の様子

本日ここにご来賓の方々ならびに卒業生のご家族の皆様のご列席を賜り、平成28年度新潟青陵大学卒業証書・学位記授与式を挙行できますことを、心より感謝申し上げます。今年度、卒業証書を授与される者は看護学科80名、福祉心理学科131名 、修士の学位を授与される者は臨床心理学研究科9名、看護学研究科6名であります。晴れてこの日を迎えられた皆さん、まことにおめでとうございます。くわえて皆さんの成長を温かく見守り、支援してこられたご家族の方々に心よりお祝い申し上げます。

平成28年度卒業式式辞の様子

卒業生の皆さんは、本日より地域社会のリーダーとして期待される広い視野と高い技能を有する福祉・心理分野の専門的職業人、あるいは実践知に基づく豊富な経験を有する看護師・保健師・助産師等の専門的職業人を目指して、あたらしい人生の第一歩を踏み出すのであります。福祉であれ看護であれ、ケアの現場において「ケアするものの立場で活躍するためには、実践的な知識と技能に加えて、どのような対象者に対してもその方の立場にたって考えられるという心の訓練が必要」であります。くわえてケアの現場は不確実性の高い領域であります。ケアされるものに対して何が一番よいケアなのか、必ずしも教科書どおりではない柔軟な判断が求められます。皆さんはこれから現場の実践を積み重ねてケアの真髄を体得されるものと確信します。

さて皆さんがこれから活躍する舞台は、より高度な知識や技能が要求されるグローバルな「知識基盤社会」であります。高度な知識が日々新たに生まれ、過去の知識が次々と色あせ陳腐化してゆく社会であります。世界各国は、財政危機がもたらす社会保障制度の急激な変化に対応しつつ、持続可能な世界水準の技能を導入しなければなりません。同時にそのことが技能の偏重に陥ることなく、社会保障制度の究極の目的が、社会保険であれ公的扶助であれ、人々の自立した人生の実現を支援することにあることを忘れないでいただきたいと思います。日本はいまや世界でもっとも人口の高齢化が進んだ国となり、日本における高齢者福祉のスキルが、共通の政策課題を抱える諸外国から注目されるようになりました。これからは皆さんの知識と技能こそが世界の人々から注目される時代となったのであります。

平成28年度卒業式式辞の様子

いま皆さんは平和で豊かな時代を生きています。第2次大戦後の70年間、地震・津波による大災害はありましたが、戦争災害を経験することはまったくありませんでした。私には少年の頃敗戦を満州で迎えた経験があります。大戦終結直後の冷戦前期でしたので米中ロ三か国の協力の下で米軍の上陸用舟艇に載せられて無事帰国を果たしました。翻って現在の北東アジアの状況はいかがでしょうか。近隣諸国との間で領土領海問題をめぐる対立があり、北朝鮮の拉致問題・ミサイル発射実験等によって緊張を強いられています。世界に眼を転じますと異なる国家、民族、宗教宗派の間の武力衝突、テロ、難民問題、核開発競争などが枚挙にいとまがありません。我が国では平和の時代が長期化日常化するに伴い、若者に平和を希求する意識が希薄になっていることが懸念されています。社会人となる皆さんが、日本や東アジアの近現代史をしっかり学び直し、日本や東アジアの未来を冷静に見つめることを期待します。もちろんその他の国際政治上の出来事にもたえず関心を持って下さい。それが若い世代に一番求められている教養力だと思います。

さて皆さんが4年間過ごされた学舎は、四季折々に素晴らしい自然のたたずまいのなかにあり、皆さんの豊かな感性を育みました。日本海の雄大な自然は時にはきびしく、冬には荒海をこえて雪上を過ぎゆく群青の風となって、夏には砂浜に容赦なくふりそそぐ太陽の金色の輝きとなって、皆さんに何ごとにも挫けない自立と寛容の精神を育みました。そうした環境の中で醸成された友情と師弟の絆は、長く熟成された葡萄酒の味わいのごとく、これからの皆さんの長い人生の旅路の中でさらに価値あるものになっていくものと信じます。この春にキャンバス内に新設された瀟洒な建物が、青陵大学と皆さんの新しい絆のシンボルとなることを期待いたしております。

本日卒業された学部学生、大学院を修了された方すべての皆さん、皆さんはこれから進むべき厳しい現実に立ち向かい、激しく変化する社会を生き抜く専門的職業人としての能力を獲得されました。そのことに自信を持って、ケアの心を忘れず、グローバルな視野を拡げ、寛容の精神に基づいて人間らしく生き抜いて頂きたいと思います。最後に、卒業生とご家族の皆さんのしあわせを心よりお祈り申しあげ、私からの餞の言葉といたします。

平成29年3月17日
新潟青陵大学学長
諫山 正