大学からのお知らせ

平成27年度 新潟青陵大学 卒業式式辞

平成27年度卒業式式辞の様子

本日ここに韓国コットンネ大学校総長李先生をはじめ、ご来賓の方々ならびにご家族・保護者の皆様のご列席を賜り、平成27年度新潟青陵大学卒業証書・学位記授与式を挙行できますことを、心より感謝申し上げます。今年度、卒業証書を授与される者は看護学科81名、福祉心理学科136名 、修士の学位を授与される者は臨床心理学研究科9名であります。晴れてこの日を迎えられた皆さん、まことにおめでとうございます。くわえて皆さんの成長を温かく見守り、支援してこられたご家族・保護者の方々に心よりお祝い申し上げます。

平成27年度卒業式式辞の様子

卒業生の皆さんは、今日より地域社会のリーダーとして期待される広い視野と高い技能を有する福祉・心理分野の専門的職業人、あるいは実践知に基づく豊富な経験を有する看護師や保健師等の専門的職業人を目指して、あたらしい人生の第一歩を踏み出すのであります。ケアの現場においては「ケアするものの立場で活躍するためには、実践的な知識と技術に加えて、どのような相手に対してもその人の立場になって考えられるという心の訓練が必要」であります。不確定な要素に満ちている現場においては、ケアされるものに対して何が一番よいケアなのか、必ずしも教科書どおりではない柔軟な判断が求められます。皆さんは学内外における実践的学習によってケアの真髄を理解したものと確信します。

専門的職業人として皆さんがこれから活躍する舞台は、より高度な知識や技術が要求されるグローバルな「知識基盤社会」であります。高度な知識が日々新たに生まれ、過去の知識が次々と色あせ陳腐化してゆく社会です。社会福祉システムの急激な変化に対応し、世界的水準の技術革新を吸収しなければなりません。一人ひとりの専門的職業人にとって働くことと学ぶことが一体となってともに要求される社会です。日本はいまや世界でも人口の高齢化が顕著に進んだ国となり、日本における高齢者福祉のスキルや地域包括ケアシステムなどの課題が、共通の政策課題を抱える東アジア諸国から注目されるようになりました。いまや看護福祉の研究領域は世界的に高い水準にあると自負できます。皆さんのグローバルな視点を持ったこれからの学びが世界の人々から注目されているのです。

平成27年度卒業式式辞の様子

さて皆さんが4年間過ごされた学舎は、四季折々に素晴らしい自然のたたずまいのなかにあり、皆さんの豊かな感性を育みました。日本海の雄大な自然は時にはきびしく、冬には荒海をこえて雪上を過ぎゆく群青の風となって、夏には砂浜に容赦なくふりそそぐ太陽の金色の輝きとなって、皆さんに何ごとにも挫けない自立と寛容の精神を育みました。自然と寛容の精神のハーモニーによって醸成された友情と師弟の絆は、長く熟成された葡萄酒の味わいのごとく、これからの皆さんの長い人生の旅路の中でさらに価値あるものになっていくものと信じます。
皆さんはいま平和で幸せな時代を生きています。日本では第2次大戦後の70年間、いくつかの地震津波などの大災害に遭遇しましたが、国民は戦争災害をまったく経験することはありませんでした。このように平和の時代が長期化日常化するに伴い、若者に平和を希求する意識が希薄になるのが懸念されます。他方世界を眺めると異なる国家、民族、宗教宗派の間の武力衝突、テロ、難民問題、核開発競争などが絶えることがありません。寛容とは宗教戦争の解決に関連して生まれた言葉ですが、今こそ現代における寛容理念の再構築が必要なのではないでしょうか。なによりも寛容には他者に対する理解が前提とされます。なかでも近隣諸国の民族、宗教、文化を理解することがその第一歩です。そのような意味において今日の佳き日に韓国コットンネ大学校李総長ほか2名の先生方が朝鮮半島に軍事的緊張高まる中で皆さんの卒業式のために来日されましたことに対して敬意を表し、深く感謝申し上げます。皆さんは総長の祝辞から韓国の学生たちが真剣に学んでいることを感じ取っていただけば幸いです。

本日卒業された学部学生、大学院を修了された方すべての皆さん、皆さんはこれから進むべき厳しい現実に立ち向かい、激しく変化する社会を生き抜く専門的職業人としての能力を獲得されました。そのことに自信を持って、ケアの心を忘れず、グローバルな視野を拡げ、寛容の精神に基づいて人間らしく生き抜いて頂きたいと思います。最後に来賓の皆様には厚くお礼申し上げ、卒業生の皆さんとご家族のしあわせを心よりお祈り申しあげ、私からの餞の言葉といたします。

平成28年3月18日
新潟青陵大学学長
諌山 正