大学からのお知らせ

平成28年度 短期大学部 入学式式辞

平成28年度入学式式辞の様子

皆さんご入学おめでとうございます。保護者の皆様もさぞお喜びのことと拝察申し上げます。皆様のお目に留まったと存じますが、私どもはキャンパスの改築に取り掛かっておりまして、来年の4月には4階建の校舎が立ち上がります。私どもの教職員、先生方も職員も志しを高く持ち、チャレンジ精神に溢れていて、学生、生徒も地域社会からの高い評価を得ていますが、新しい校舎とあいまって、それを一段と高めることに新入生の皆さんも大きな一役を買って頂けるようにお願いします。

私が申し上げる迄もなく世界も日本も大きく変わろうとしています。世界の変化の最大のものは中国の発展、台頭とそれがアジアに及ぼす影響です。私は1世紀前の当時の新興国日本の中国東北部での振る舞いと今の中国の拡張政策とをつい重ね合わせて考えてしまうのですが、その中国とは協力もし、仲良くもしながらその増大する武力には警戒を緩める訳には行きません。今まではアメリカの傘の影に隠れていた我が国が自力でものを言わねばならない立場に立ちました。国内では少子高齢化がますます進んで、外国人労働者を本気になって導入するか?ロボットで代替出来る仕事はロボットに任せるかしなければなりません。それはロボットに代わられた失業者増大とサービス業などの賃金水準の低下を意味するのです。アメリカの大統領選挙でトランプ旋風が巻き起こって居ると言います。所得格差が開き続けていることに白人の低所得層の怒りが爆発しているのだそうです。

平成28年度入学式式辞の様子

鉄腕アトムとか手塚治虫とか言っても、学生の皆さんは余程の漫画通でなければご存じない。保護者の皆様ならばご記憶にあるでしょうか?鉄腕アトムはロボットの草分け的な存在ですが、その頃からロボット、人工知能が生みの親の人間の知能を凌駕する時代が来るかも知れない予測がありました。将棋によく似たチェスはもう20年も前に人工知能がチェスの世界選手権保持者を破りました。盤面が広く変化に富む囲碁では後10年は勝てないと言われた人工知能が、囲碁の世界選手権保持者、韓国のイセドルとの5番勝負に4勝1敗の成績を挙げて世界中の評判になりました。人工知能の「α碁」には特段の指図も知恵もインプットされていません。過去の記録の集積の中から類似のパターンを見出し、最終の勝利への道を発見する「ディープラーニング」がこれからの発明、発見、工夫にどの様に大きく貢献するか?期待が高まるばかりのようです。最初に実現するのは自動車の自動運転と言われますが、それで世の中がどの様に変わるのでしょうか?私を始め私たちの大部分は人工知能に関して門外漢ですが、ロボットのペッパー君を2体買い入れました。学生の皆さんにはロボットと共存する社会、ロボットに指示したり、命令しなければならない時代をほんの僅かでも先取りして貰いたいからです。北欧のフィンランドでは小学校の始めからロボットに親しむ授業があるそうです。保護者の皆様もお子様とご一緒にロボットと共存の世界を覗かれる様にお勧め致します。

平成28年度入学式式辞の様子

いわゆる学力を認知スキル、より根本的ないわば生きる力を非認知スキルと呼ぶ分け方があります。最近大学卒業の「学士」に不足していると非難される非認知スキルとは何でしょうか?何かを最後までやり抜く力や好奇心、誠実さ、楽観主義、自制心などですが、その形成には幼児から成人に至るまでの環境が大きく影響すると言われます。私は夢中でと言うか?死に物狂いでというか?切羽詰まってというか?逆境の中又は逆境を想定して物事をやり抜いた経験が非認知スキルの向上に役立つと思います。私などの幼い時代には日常的に貧困が隣り合わせにあって、そのことが幼い子どもにも緊張を強いました。それに加えて私には、国家の意思で学業を放棄させられ強制的な勤労動員に駆り出された経験があります。15歳、16歳の少年が親許を遠く離れての、空腹を抱えながら非人間的な環境の下での労働でした。お国の為ということに純粋に同調しての献身的な労働の経験は、人様に勧められるものではありませんが、私自身としては奇妙に懐かしい、非認知スキル形成に役だった様な気がするのです。

学長としての私は、皆さんに学業優秀な学生であることを望みますが、人生の先輩としての私は皆さんに多少羽目を外しても多くの友人と活躍の場を広げて青春を満喫して頂きたい。それが非認知スキルの形成に役立つ筈と保護者の皆様にご理解をお願いして、今日の入学式の私の式辞と致します。

平成28年4月2日
新潟青陵大学短期大学部学長
関 昭一