事業報告および事業計画

事業報告および事業計画

文部省令で定められた「学校法人会計基準」

(資金収支計算の目的)
第6条 学校法人は、毎会計年度、当該会計年度の諸活動に対応するすべての収入及び支出の内容並びに当該会計年度における支払資金(現金及びいつでも引き出すことができる預貯金をいう。)の収入及び支出のてん末を明らかにするため、資金収支計算を行うものとする。
【補足】翌年度の諸活動に対応する資金として当該年度に収納する前受金(翌年度入学生の入学時納入金など)も、収支のてん末を明らかにするためにその現預金は支払資金に含めて計算されます。
(事業活動収支計算の目的)
第15条 学校法人は、毎会計年度、当該会計年度の次に掲げる活動に対応する事業活動収入及び事業活動支出の内容を明らかにするとともに、当該会計年度において第二十九条及び第三十条の規定により基本金に組み入れる額(以下「基本金組入額」という。)を控除した当該会計年度諸活動に対応する全ての事業活動収入及び事業活動支出の均衡の状態を明らかにするために、事業活動収支計算を行うものとする。
一 教育活動
二 教育活動以外の経常的な活動
三 前二号に掲げる活動以外の活動
【補足】学校法人の将来にわたる計画的な財政運営を可能ならしめるため、事業活動収入と事業活動支出の内容を示して法人の経営状況を明らかにすること及び事業活動収支均衡の有無とその状態を明らかにすることを目的にしております。この計算における事業活動収入は当該会計年度における学校法人の負債とならない収入が示されています。また、事業活動支出の計算方法では、退職給与引当金繰入額、減価償却額、資産処分差額なども支出として把握されます。
(基本金)
第29条 学校法人が、その諸活動の計画に基づき必要な資産を継続的に保持するために維持すべきものとして、その事業活動収入のうちから組み入れた金額を基本金とする。
(基本金への組み入れ)
第30条 学校法人は、次に掲げる金額に相当する金額を基本金に組み入れるものとする。
一 学校法人が設立当初に取得した固定資産で教育の用に供されるものの価格又は新たな学校の設置若しくは既設の学校の規模の拡大若しくは教育の充実向上のために取得した固定資産の価格
二 学校法人が新たな学校の設置若しくは既設の学校の規模の拡大若しくは教育の充実向上のために将来取得する固定資産の取得に充てる金銭その他の資産の額
三 基金として継続的に保持し、かつ、運用する金銭その他の資産の額
四 恒常的に保持すべき資金として別に文部科学大臣が定める額
【補足】校地、校舎、教育研究用機器備品等の教育用有形固定資産の取得は、基本金組入対象資産の典型ですが、借地権や施設利用権等の無形固定資産も基本金組入対象資産となります。これらの資産取得は事業活動収入のうちから計算されて基本金として組み入れられます。なお、当年度収支差額の不均衡は、基本金組入高の多寡或いは事業活動収入の不足或いは事業活動支出額の多寡等々の要因によって発生いたします。

学校法人会計の特徴や企業会計との違いについて

 学校法人会計基準は、私立学校振興助成法により、国または地方公共団体から経常的経費について補助を受ける学校法人に適用され、財務計算に関する書類作成において適正かつ統一的な会計処理を行う基準として昭和46年に制定されました。
 この基準は、公費による補助金を受ける学校法人としての特性、すなわち極めて高い公共性や継続性、安定性などが特に強く求められることなどを踏まえ、営利企業とは異なり、収益が多ければ多いほどよいというものではなく、むしろ長期にわたる収支の均衡をとることが重要視されています。
 なお、学校法人会計基準は、制定以来40年以上が経過し、社会における経済活動の変化やグローバル化などを受けて私立学校を取り巻く経営環境が大きく変化する中、社会に対して経営状態を分かりやすく説明する仕組みが求められてきました。
 こうしたことを鑑みて、経常的な収支と臨時的な収支の状況を区別できるようにすることや資金の流れが活動区分ごとに分かる活動区分資金収支計算書を新たに作成するなどの大幅な改正が平成27年度に実施されました。

(1)「キャッシュ・フロー計算書」と「活動区分資金収支計算書」
 キャッシュ・フローとは、企業が経済活動によって実際に得られた収入から外部への支払いを差し引いて手元に残る資金の流れをいいます。定められた会計期間において企業が経済活動により、どのようにして資金調達がなされ、何に投資がなされ、どのような支出がされたのかということを示す財務諸表です。企業の「キャッシュ・フロー計算書」は資金の増減及び保有額が重視されたもので、その作成方法には直接法と間接法があり、直接法は営業収入と費用を関連させて現金収支を計算するのに対して、間接法は「損益計算書」の当期純利益から減価償却費等の資金の流出がない費用を加算する一方、資産・負債の増減による資金の出入りを逆算する事により計算する方法で、その内容は、「営業活動」、「投資活動」及び「財務活動」の三つのキャッシュ・フローが活動区分別に記載され、当該会計期間におけるキャッシュ・フローの状況を表示したものとなっています。
 一方、学校法人では、当該会計年度の諸活動に対応するすべての収入及び支出の内容並びに当該会計年度における支払資金(現金及びいつでも引き出すことができる預貯金)の収入及び支出のてん末を明らかにするため、資金収支計算を行なうものとされ、「活動区分資金収支計算書」は、企業会計の「キャッシュ・フロー計算書」の活動別に区分して計算する考え方を取り入れて、直接法により「教育活動」(教育活動による資金収支)、「施設若しくは設備の取得又は売却その他これらに類する活動」(施設整備等活動による資金収支)及び「資金調達その他前記二つの活動に掲げる活動以外の活動」(その他の活動による資金収支)に区分して記載されます。
(2)「損益計算書」と「事業活動収支計算書」
 企業の「損益計算書」と学校法人の「事業活動収支計算書」はどちらも発生主義と総額表示については同じですが、目的が大きく異なります。企業の「損益計算書」は、企業の経営成績(収益)を明らかにするため、定められた会計期間に属するすべての収益とこれに対応するすべての費用とを「営業収益」と「営業外収益」に区分して、経常利益を計算し、これに特別損益に属する項目を加減して当期純利益を表示しています。
 一方、学校法人の「事業活動収支計算書」は、当該会計年度の「教育活動」、「教育活動以外の経常的な活動」及び「前記二つの活動以外の活動」に対応する事業活動収入及び事業活動支出の内容を明らかにするとともに、当該年度の基本金組入額を控除した当該会計年度の諸活動に対応する全ての事業活動収入及び事業活動支出の均衡の状態を明らかにするもので、その計算方法は、事業活動収入においては、当該会計年度における学校法人の負債とならない収入を計算し、事業活動支出においては、当該会計年度において消費する資産の取得価額及び用役の対価に基づく支出が計上され、事業活動の収支は活動ごとに計算され、その残額から基本金組入額を控除したものとなります。
(3)「貸借対照表」
 この計算書は、当該会計年度末時点における財政状態を表すもので、企業も学校法人も構造的には同様と考えることができます。しかしながら、資産および負債の項目の配列は、原則として、企業会計では、流動性配列法により、学校法人会計では、固定性配列法によっています。