メル友連続殺人の犯罪心理学
新潟青陵大(碓井真史)
/こころの散歩道/犯罪心理学/出会い系サイト事件:京都メル友殺人


京都メル友女性殺害事件の犯罪心理学
(出会い系サイト殺人事件・メル友殺人事件)


2000.5.18

 

2002.7.18補足:京都地裁が被告に無期懲役を求刑。被告は殺人の事実は認めているが、強盗目的を否定している。

・参考:刑法によれば、殺人は「死刑又は無期もししくは3年以上の懲役に処する」。ただし強盗が殺人をすれば、「死刑又は無期懲役に処する」。
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 今年(2000年)4月下旬、京都で女子大生の遺体が発見された事件で、被害者のメル友だった25歳の男性が逮捕されました(5.15)。この男性は、「取り返しのつかないことをした」「金をめぐるトラブルからカッとなって殺害した」と供述、容疑を認めています。

 さらに、5月8日に絞殺遺体で発見されたOLの事件にも関与していたと見られ、取調べが続いています。

 容疑者の男性は、サラ金からの160万ほどの借金があり、被害者二人のバッグを質入しています。

 殺害された女子大生は、容疑者の男性のことを「会っても面白くない」と友人らに話していました。警察は、このことと犯行動機との関連も調べています。

メル友殺人容疑者男性

 中高生のころは、目立たない生徒でした。大きな問題も起こしていません。教師も名前を言われてもすぐには思い出せないほどのようです。家庭は、一般的な家庭で、160万円の借金が返さないような家庭とは思えません。現在の仕事はアルバイトですが、もう2年ほど務めていて、まじめな仕事ぶりだったそうです。

 バックを質入する際、自分の本物の身分証明書を使っています。これではすぐに犯行が発覚するのも当然です。取調べ中の様子は、良心の呵責(かしゃく)を感じて苦しんでいるといったことは見られないようです。

 目立たないような人間で、借金以外の大きなトラブルは見当たりません。人間関係はあまり器用ではなかったようです。これまでに交際した女性がいたといった情報はありません。もしかしたら、大人になってからはじめて付き合った女性が、今回の二人の助成だったのかも知れません。

メル友殺人の犯行動機

 みんなが納得するような犯行動機は、今のところ見当たりません。金銭トラブルということですが、被害者から多額の金品を奪ったわけではありません。サラ金からの借金も、親が出てくれば返せない額ではありません。強姦目的というわけでもありません。殺人自体に快楽を感じる快楽殺人でもないようです。本人が言っているように、ついカッとなって殺したということでしょうか。


心の爆弾

 今の段階では想像するだけですが、何か犯行動機となるような強烈な出来事があったというわけではなさそうです。彼は、今までは大きな問題を起こしえ来ませんでしたが、実は心の中に爆弾を抱えていたのかもしれません。

 怒りを抑えられない、爆発的に暴力をふるうといった側面です。たまたま今までの人生では現れないですんでいたのかもしれません。もしも、今回の事件がなく、そのまま中年になっていたら、一生暴力事件など起こさなかったかもしれません。何かのきっかけが、爆弾に火をつけてしまったのでしょうか。

人間関係の距離

 私たちは、周囲の人間とほどよい距離をたもって付き合っています。恋人、親友、知り合い、それぞれに適切な人間関係の距離を保てます。

 しかし、人間関係に問題を持つ人は、適切な人間関係の距離を作れません。たとえば、誰とも付き合わないときもあります。そうかと思うと、ひとたび親しくなると、距離を縮めすぎます。完璧な100パーセントの信頼関係を求めます。

 そうなろと、相手は息苦しさを感じてしまいます。また、現実離れした信頼を寄せすぎてしまうため、普通ならなんでもないような相手の言動を「裏切り」と感じ、絶望したり、憎しみや怒りを爆発させることもあります。

 憎しみは、関係のない他人にはあまり感じません。大切だと思う人に自分の気持ちが通じないとき、強い憎しみの感情が生まれます。

 もしかしたら、この男性も、被害者女性との幻想的な相互信頼関係を持ってしまっていたのかもしれません。そうなると、普通なら多少不愉快になる程度の相手の言動でも、彼には致命的になります。その信頼の夢が破れたとき、彼の心の爆弾が爆発したのでしょうか。

メル友(出会い系サイト)

 メル友(出会い系サイト)が絡んだ事件がここのところ多発しています(と感じますが、マスメディアがメル友がらみの事件をことさら大きく報道しているようにも思います)。

 今回の事件は、最初から犯行を犯す目的でメールを使用したわけではなさそうです。女性と交際したかったのでしょうか。普段の生活では女性と知り合えない人でも、メールを使えばそれができます。人から、つまらない、目立たないなどといわれる人でも、メールでは、魅力的に見せることができるかもしれません。

 容疑者の男性にも、二人のじ女性のメル友ができました。しかし、実際に会って、交際をしてみると、思うようにはいきません。「つまらない人」などと思われ、金銭トラブルもありました。彼のプライドは激しく傷ついたのかもしれません。

 決してメールが悪いわけではありません。しかし、もしもメールというものがなく、女性と個人的に知り合うこともできていなければ、彼は犯罪者にならずにすんでいたかもしれません。

*当サイトの関連ページ:インターネットの心理学(ネットで燃え上がる愛情、高まる敵意)
2000.5.18

補足:

2001.11.1の報道によると、出会い系サイト関係の事件は増加しています。
 2001年上半期(1−6月)にインターネットの「出会い系」サイトが関係した事件の検挙件数は302件で、昨年の年間件数(104件)の約3倍に急増しています。被害者の9割が女性です。殺人が5件、強姦が20件など、凶悪事件の被害者になる女性が目立っています。

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☆ウェブマスター碓井真史の本☆

『誰でもいいから殺したかった :追い詰められた青少年の心理』 2008
:愛される親になるための処方箋。自分を探し続ける青年たち

『人間関係がうまくいく 図解 嘘の正しい使い方 :ホンネとタテマエを自在に操る心理法則』 2008
:上手な愛の伝え方、追い詰めない叱り方

ふつうの 家庭から生まれる 犯罪者
:あなたは子どもを体当たりで愛していますか。
なぜ「少年」は犯罪に走ったのか
:17歳の犯罪者たち
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犯罪心理学:心の闇と光へ戻る
一般的な犯罪の心理、殺人の心理などはこちら。



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